SNSを見ていると、このような声がたくさん出てきます。
その一方で、「まずいと聞いていたけど意外においしかった」という人や「オートミールは普通においしい!」という声もたくさん見られます。これは、単純に好みの問題だけなのでしょうか。
その答えを探すべくさらに調べてみると、調理法などを工夫することでオートミールをもっとおいしく食べられるケースが多いことが見えてきました。
この記事では、オートミールがまずくなる原因と、「まずい」を「おいしい」に変えるコツについてご紹介します。
Contents
オートミールはなぜまずい?まずくなる原因とおいしくするポイント
おいしいお米をたべ慣れている私たち日本人にとって、オートミールがごはんよりもまずいと感じてしまうのはある程度仕方ないことかもしれません。
しかし、オートミールもちょっとしたポイントを押さえると、それなりにおいしくなります。
では、オートミールがまずくなってしまう原因はどこにあるのでしょうか。そして、どうすればおいしく食べられるのでしょうか。
オートミールがまずいと感じる理由ベスト3
最初に、オートミールを「まずい!」と感じる理由を探ってみましょう。オートミールがまずい理由はだいたい以下の3つの要因に絞られます。
粉っぽい
オートミールをまずいと感じるいちばん多い理由は、粉っぽさのようです。確かに、オートミールには小麦粉や片栗粉をそのまま口に入れたような粉っぽさがあります。
この粉っぽさが好きという人もいますが、大半の人はオートミールの粉っぽさを「まずい!」、と感じているようですね。
食感が嫌い
オートミールがまずい理由として粉っぽさの次に多かった意見が「食感」です。味は大丈夫だけど、食感がどうしても無理という人も多くいました。
圧倒的に多かったのは、「ドロドロの食感が無理」や「ネチョッとした食感が無理」という意見でした。
オートミール特有の粘りが苦手という人が多いようです。それ以外に、紙のような食感が嫌だという意見も多く見られました。
匂いや味にクセがある
オートミールがまずいと思う理由の3つめが、匂いや味に独特のクセがあることです。
特に、匂いが嫌いという人が多いようですね。SNSでは、鳥やエサのような匂いがする、動物のエサを食べている気分になるという感想も多く見られました。
オートミールが粉っぽいのはなぜ?
「まずい」原因の1つであるオートミールの粉っぽさは、オートミールに含まれるでんぷんの性質によるものです。
生のでんぷんは水といっしょに加熱すると糊状になります(糊化・アルファ化)。しかし、糊化したでんぷんを放置すると水分が抜けて、元の生のような状態に戻ってしまいます(老化・ベータ化)。
オートミールは脱穀したオーツ麦を蒸してからローラーで平たく潰し、再度乾燥させたものです。
オーツ麦を蒸すとでんぷんが一旦糊化しますが、再び乾燥させるとでんぷんは老化して生の状態に戻ってしまいます。この生のような状態のでんぷんがオートミールを粉っぽくしている原因です。
オートミールの粉っぽさをなくす方法
オートミールはでんぷんが生の状態に戻っているので、再び糊化することで粉っぽさをなくせます。冷ごはんをレンジで温めるとふっくらとしたごはんになるのと同じ原理ですね。
冷ごはんは水分が残っているので再加熱するだけで大丈夫ですが、オートミールは乾燥させてあるので、でんぷんを再糊化させるには水分と加熱の両方が必要です。
オートミールを牛乳やヨーグルトに浸すだけでは、でんぷんは水を吸ってふやけるだけで糊化されないため粉っぽさはそのまま残ってしまいます。
ですから、オートミールの粉っぽさが苦手な人は、オーバーナイトオーツのように牛乳やヨーグルトに浸す食べ方ではなく、加熱してから食べる方法がおすすめです。
オートミールのクセが強いのはなぜ?
オートミールは米や小麦粉に比べると独特の風味があります。この独特のクセを「まずい」と感じる方が多いようですが、その正体は原料のオーツ麦の皮や胚芽です。
白米や小麦粉は外皮や胚芽を取り除いて胚乳部分だけを食用にしているのでクセがありません。それに対し、オートミールは皮や胚芽がついたまま加工されます。お米でいうと玄米のようなものですね。
玄米にも独特のクセがありますが、オートミールもそれと同じです。外皮や胚芽には独特の風味があるため、オートミールに独特の匂いが残っているというわけです。
クセのある匂いや味を抑える方法
オートミール特有の匂いや味を抑えるには、2つの方法があります。ひとつが、クセの少ないオートミールを選ぶ方法です。
オートミールは、原料のオーツ麦の生産国や加工方法によって風味がかなり変わってきます。メーカーによってはクセをほとんど感じないオートミールもあるので、ずいぶん食べやすくなります。
そして、もうひとつがカレー、キムチ、納豆、チーズなど濃いめの味や香りの強い食品でカバーする方法です。
米化して食べる場合は、チャーハンやオムライスにしたり、ふりかけやごはんのお供といっしょに食べたりする方法も良いですね。
クセが少なく食べやすいオートミールやクセの出にくい調理方法については、後ほど詳しくご紹介しますね。
オートミールがドロドロになるのはなぜ?
食感が「まずい」という声のなかでも、特に多かったドロドロの食感やネチョッとした食感の正体は水溶性食物繊維です。水溶性食物繊維は水を吸うとジェル状になる性質があります。
オートミールには水溶性食物繊維が豊富に含まれているので、牛乳やヨーグルトに浸したりお粥にしたりするとドロドロになってしまうのです。
また、オートミールは米や小麦粉よりもでんぷんが少なく不溶性食物繊維が多いので、米化すると白米よりもパサパサ、ボソボソとした食感になりやすいという特徴もあります。
苦手な食感を変える方法
オートミールの食感は、オートミールのタイプを変えることや調理法を工夫することで改善できます。市販されているオートミールには、主に3つのタイプがあります。
・ロールドオーツ:オーツ麦を蒸してローラーで平らに伸ばして再び乾燥させたもの
・クイックオーツ:ロールドオーツを小さめにカットしたもの
・インスタントオーツ:ロールドオーツをさらに細かくカットしたもの。α化処理をして加熱しないでも食べられるタイプもある。
基本的に、粒子が細かくなればなるほど水を吸うとドロドロになりやすい傾向があります。ですから、クイックオーツやインスタントオーツよりもロールドオーツの方がドロドロになりにくいと言えます。
食感を変える調理方法については、この後に詳しくご紹介しますね。
【使い方別】まずいオートミールをおいしくするコツ
オートミールを使ったメニューをレシピ通りに作ってみたけれどもまずい場合、どのようにすればおいしくなるのでしょうか。使い方別にまずいオートミールをおいしくするコツをご紹介します。
オートミール×味噌汁・スープ
オートミールはそのままではまずいので、味噌汁やスープに入れて食べる方法がインターネットなどで紹介されています。
味噌汁やスープに入れて食べるとオートミール特有のクセは気にならなくなりますが、オートミールをそのまま入れるだけでは粉っぽさは残ってしまいます。
粉っぽさが気になってまずいと感じる場合は、オートミールをスープや味噌汁に入れてレンジで1分半ほど加熱するか、鍋で5分ほど煮込むとよいでしょう。
もしくは、温めたスープジャーに入れて熱々にした味噌汁やスープを注ぎ、フタをして20分以上放置してから食べる方法もあります。インスタント味噌汁やカップスープに入れる場合も同じようにするとよいでしょう。
オートミールのパンケーキや蒸しパン
オートミールのパンケーキや蒸しパンも簡単に作れておいしいと人気がありますが、作り方によってはまずいものができ上がってしまうこともあります。
オートミールのパンケーキや蒸しパンがまずい理由として、ふんわりしない、団子のようになる、粒々が残って食感が嫌いという声が多いですが、これらはちょっとしたコツで改善できます。
1.オートミールに牛乳(豆乳)を入れてから5~10分くらい放置して、オートミールにしっかりと吸水させる。
2.吸水させたオートミールは、ヘラや麺棒などでオートミールを潰すようにして粘りが出るまでよく混ぜる。
こうすることで生地が均一になり、もちふわ食感のパンケーキや蒸しパンになります。オートミールはクイックオーツやインスタントオーツが使いやすいですが、オートミールを細かく粉砕するとさらにふわふわになりやすくなります。
また、酢を小さじ1/2杯ほど入れると酸がベーキングパウダーの働きを助けるのでふわふわ感が増します。
オートミールのクセが気になる場合は、砂糖やはちみつの量を少し増やして甘めにすると食べやすくなります。
オートミールのミルク粥
オートミールのミルク粥は「ポリッジ」といい、ヨーロッパやアメリカで定番の食べ方です。日本でもオートミールの定番の食べ方として紹介されていますが、好みは大きく分かれるようです。
ポリッジの発祥のスコットランドでは、オートミールをミルクで煮込んで塩を入れたシンプルな食べ方が定番だそうですが、それ以外の国でははちみつなどで甘くしてナッツや果物をトッピングする食べ方が一般的のようです。
オートミールのミルク粥は味付けで大きく変わるので、甘い系と塩味系の両方を試してみると良いかもしれません。塩味にする場合はカレー粉やチーズなどを入れてリゾット風にする方法もおすすめです。
また、ペースト状の食感が嫌いなら、粒の大きなロールドオーツを使うとよいでしょう。
オートミール×牛乳・ヨーグルト
オートミールを牛乳やヨーグルトに浸して食べる方法も海外では定番の食べ方です。「オーバーナイトオーツ」と言われる食べ方で、オートミールに牛乳やヨーグルトを入れて一晩漬けて柔らかくふやかして食べます。
しかし、オートミールを牛乳やヨーグルトでふやかして柔らかくしても、オートミールのでんぷんは生の状態のままなので粉っぽさは残ります。
この粉っぽさは甘くしたり果物といっしょに食べたりしてもなかなかごまかせないので、オートミールの粉っぽさが苦手でまずいと感じる人は他の方法で食べる方がよいかもしれませんね。
業務スーパーのはまずいの?クセが少ないおすすめオートミール4選
SNSやインターネットでは、業務スーパーやコストコで売っているオートミールはクセが強くてまずい、という口コミもよく見かけます。
確かに、オーツ麦の生産国やメーカーによってはクセの強いオートミールもありますが、逆にクセの少ないオートミールもあります。ここからは、初心者でも食べやすいクセが少ないオートミールを4つご紹介します。
こめたつ 『自然の蔵 オーガニックオートミール』
こめたつの「自然の蔵」は、熊本で米・麦卸販売を営む「有限会社農産ベストパートナー」のブランドです。
自然の蔵のオートミールは、「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤ2022」の米・雑穀ジャンルで4度目の大賞を受賞した人気商品です。
オーガニックオートミールはロールドオーツタイプの有機オートミールで、アメリカ産、フィンランド産、オーストラリア産のなかから日本で有機JAS認定を受けたオーツ麦だけを使用しています。
口コミでもオートミール特有の匂いやクセをほとんど感じないと評判で、他のオートミールは食べられなかったけどこめたつのオーガニックオートミールはおいしく食べられたという口コミも多く見られます。
粒が大きくしっかりとしているため米化してもおいしく食べられます。ロールドオーツの他にクイックオーツも販売されています。
ボブズレッドミル オーガニックオールドファッションドロールドオーツ
ボブズレッドミル(Bob's Red Mill)は世界80か国に輸出をしている、アメリカの世界的な全粒穀物のシリアルメーカーです。
ボブズレッドミルのオートミールは、スコットランドで毎年開かれるオートミールの世界大会で2回チャンピオンに選ばれている人気のオートミールです。
ボブズレッドミルのオールドファッションドロールドオーツはクセも少なく食べやすいという口コミが多い商品です。
ただし、粉っぽさがけっこうあるので、加熱をしないオーバーナイトオーツにはあまり向かないかもしれません。
ロールドオーツタイプの他に、極厚タイプのロールドオーツ、クイックオーツやインスタントオーツも販売されています。
日食 『プレミアムピュア オートミール』
「日本食品製造合資会社」は老舗のシリアルメーカーで、日本で初めてオートミールを製造した会社です。
日本でオートミールがブームになってきたのは2020年くらいからですが、なんとその90年前からオートミールを製造しているのですね。
老舗ならではの長年のノウハウを生かし、加工方法を工夫して日本人が食べやすいようにクセの少ないオートミールを製造しています。
口コミでもクセが少なく初心者でも食べやすいと評判です。
調理がしやすいインスタントタイプの『プレミアムピュア オートミール』の他に、粒が厚めで食べ応えがあるロールドオーツタイプの『プレミアムピュア トラディショナルオートミール』の2種類が販売されています。
エルサンク・ジャポン 有機オートミール
エルサンク・ジャポン(EL-THANK JAPON)は、オーガニックと品質にこだわったシリアルメーカーです。
厳選したフランスの契約農場から直接買い付けたオーツ麦をフランスの工場で加工し、埼玉の有機認定工場で製品化しています。
オートミール特有のクセが少なく、ボブズレッドミルのロールドオーツに似ているという声もあります。
ロールドオーツですが粒はやや小粒なので、粒感がしっかりとしたオートミールが好みの人にはやや物足りないかもしれません。
とは言え、クセが少なく食べやすいためオートミール初心者にもおすすめです。ロールドオーツの他にクイックオーツもあります。
まとめ:まずいオートミールは少しの工夫でおいしく食べられる!
オートミールは、精白せずに外皮や胚芽も丸ごと加工した全粒タイプのシリアルなので、米や小麦に比べると独特の匂いや味があります。そのため、白米を食べ慣れた人にとっては「まずい」と感じてしまうかもしれません。
しかし、できるだけクセの少ないオートミールを選ぶだけでずいぶん食べやすくなりますし、食べ方や調理方法を工夫すると粉っぽさもなくなり、苦手な食感が改善されるケースも多々あります。
オートミールにはダイエット効果や健康効果が期待できるので、オートミールが「まずい」と諦めてしまった人も、ぜひ再挑戦してみてくださいね。